低用量ピル 体毛

生理不順改善薬・経口避妊薬である低用量ピルを使用することで髭、体毛が濃くなったことはありますか?逆にそれらが薄くなった経験はありますか?

本来女性がピルを服用するのは避妊のためですが副作用として体毛に変化が表われることがあります。

一般的には「ピルを服用すると体毛が薄くなる」と認識されているようですが必ずしもそうではありません。反対に服用で濃くなることもあります。あるいは体毛には全く変化が表われないこともあるでしょう。

 

このようにたとえ同じピルを服用していたとしても副作用に違いがみられます。濃くなる、薄くなるの違いが表われる理由をピルそのものの成分や作用の仕組みを説明しながら見ていきたいと思います。

 

低用量ピルの成分と作用の仕組み

ピルは基本的に2つのホルモンを成分としています。

  1. 卵胞ホルモン(エストロゲン)
  2. 黄体ホルモン(プロゲストーゲン)

この2つについては以前「女性もヒゲが濃くなるのはホルモンが原因?処理と対処法」で少し触れました。そこでは黄体ホルモンは「プロゲステロン」として紹介しましたが、プロゲステロンは人体から自然に発生するホルモンで、プロゲストーゲンは人工的につくられたプロゲステロンの疑似ホルモンです。

つまり人工的な黄体ホルモンということです。

女性の月経周期には卵胞ホルモンと黄体ホルモンの両方が大きく関わっており、このバランスが乱れると生理中の体調不良や抑うつ感になることがあります。ホルモンバランスの乱れによる症状はこれだけでなくイライラや関節の痛みなどもあり人により様々です。

まったく身体・気持ちの変化が表われない女性もいます。

 

少し話が脱線しますが女性ホルモンバランスの乱れとそれによる症状は以下のようになります(症状は一例です)。

エストロゲン プロゲステロン

つまりホルモンバランスの乱れと言っても高エストロゲン・低黄体ホルモンの場合と、低エストロゲン・高黄体ホルモンの場合があります。さらには両方のホルモン分泌が過剰な場合もありますので、ピルを服用する際はこれに合ったものを使用する必要があります。

エストロゲンの分泌が過剰な方はエストロゲンを活性化させる成分が少ないピルを使用し、黄体ホルモンの分泌が過剰な方はこれの活性化成分が少ないピルを服用します。

日本でもお馴染みのトリキュラーやマーベロンは主にエストロゲンを活性化させ、ヤーズは逆に黄体ホルモンを活性化させます。

あるいはホルモンが分泌される前にピルで体内にそれを取り入れることで視床下部に分泌の命令を出させない形で作用します。

 

髭・体毛が濃くなるのはこういう時

毛深い

女性の身体には女性ホルモンだけでなく男性ホルモンもわずかに分泌されています。女性の髭・体毛が濃くなる原因はこの男性ホルモンが影響していることを先ほど紹介した記事の中でも書いています。

体内の男性ホルモン数値が高くなると濃くなる可能性があるということです。

上に挙げたホルモン分泌量の図ではエストロゲンと黄体ホルモンのみを記載していますが、この中にも非常に低いレベルで男性ホルモンのテストステロンが分泌されています。

普段は黄体ホルモンによって男性ホルモンの量は制御されていますがバランスが崩れて黄体ホルモンが少なくなり男性ホルモンが多くなることがあります。もちろんピルの服用がその原因にもなり得ます。

つまりピルの影響で体毛が濃くなるのは以下のパターンのうちどちらかです。

  1. ピルによる黄体ホルモンの抑制
  2. ピルに内在する男性ホルモンの影響

 

1.ピルによる黄体ホルモンの抑制

普段は黄体ホルモンの分泌によって体内の男性ホルモンが抑えられており、男性特有の体毛が濃い・髭が生えるといったことにはなりません。

しかし低用量ピルの使用して黄体ホルモンのレベルを下げることで男性ホルモンを抑える力が弱くなり、これが増えてしまうことが考えられます。男性ホルモンのテストステロンは頭部では脱毛を起こしやすく、体毛では濃くなるように働きかけるため毛の変化がみられます。

また毛だけではなく皮脂の分泌にも影響するのでニキビの原因にもなります。

2.ピルに内在する男性ホルモンの影響

ピルの抗生物質である黄体ホルモン・プロゲストーゲンは人工ホルモンですがこれには男性ホルモンが内在しています。特に黄体ホルモンの含有量が低めの第二世代ピルでは男性ホルモンの量が高く、時にこの影響で体毛が濃くなることもあります。

これを避けるために第二世代ピルでは段階型(周期に合わせて成分量を調節しているもの、二相性・三相性)の形をとっているものがほとんどです。

とは言え完全に男性ホルモンの作用を抑えられるわけではないためやはり髭が生えたりニキビが出来たりの副作用が出る時もあります。

 

このように髭・体毛が濃くなるのは黄体ホルモンの分泌が減ることによってテストステロンが増えるか、ピルに含まれている男性ホルモンが副作用として働いてしまうかのどちらかでしょう。

毛に対するホルモンの作用自体完全には解明されていないのでこれ以外にもあるかもしれませんがほとんどがこのどちらかだと思います。

 

髭・体毛が薄くなることもある

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黄体ホルモンの分泌を抑えることで男性ホルモンの分泌が増えるならその逆も考えられます。すなわち、普段黄体ホルモンの分泌が少な目で体内テストステロンの作用が強くて体毛が濃い方はピルにより黄体ホルモンを増加させてそれを抑えることができます。

ホルモンが原因のニキビもそれを増加させることで改善することができるでしょう。ただし黄体ホルモンを増やすと言っても過剰分泌を目指すわけではなく正常な分泌量にするという意味です。

またピルの使用で黄体ホルモンだけでなくエストロゲンの分泌も正常になることで髪や肌にツヤが出たり質感がよくなったりすることもあります。薬を使うことによる効果ではありますがそれだけ体内のホルモンバランスの重要性、機能性がよくわかります。

 

低用量ピル使用の注意

女性の心身の不調はホルモンバランスの乱れが原因になることが多く、これを改善するためにピルは非常に効果的です。しかし経口薬であり、しかもホルモンに作用するものなのでその使用には注意が必要です。

抑毛のために使用してもいいのか

抑毛のため、美容のためにピルを使用することはやめましょう。

本来は生理不順の改善、避妊を目的とした薬であり、これによって髭・体毛が薄くなるのは「副作用」にすぎません。「ピルで体毛が薄くなった」と言う女性がいたとしても、その方のホルモンバランスとピルの組み合わせで副作用が偶然いい方に出ただけです。

そもそも自分のホルモン分泌量は病院に行って検査しないとわかりません。わからないままピルを使用して悪い方に作用することもあります。そうなると取り返しがつかないこともあるので、抑毛のためにと気軽に服用して良いものではありません。

たとえ服用後に抑毛できたとしても使用をやめればまた元に戻ってしまいます。

それでも抑毛のためにピルを使用したいというのなら必ず医師に相談してから決めましょう。

ピルの1か月分の費用

ピルだけの費用でいうと1ヶ月で3000~4000円ほどかかります。これに初診料や採血の費用が加わることがあります。初診+採血+1か月分のピルで1万5000~2万円はかかるのではないでしょうか。

正直なところこれだけの費用を払うくらいならサロンやエステ、クリニックで脱毛してもらった方がいいような気がします。

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女性にとっては濃い体毛、髭は美容の大敵です。なんとかこれを抑えようと情報を探しているうちにピルによる効果を知ることがあるかと思いますが、抑毛を期待してのピルの仕様は本来の使い方からは大きく逸脱します。

人によってはたしかにその効果もありますがないこともあり、ピルの作用を知らずに服用するのは非常に危険です。

大きなリスクを背負って抑毛を期待するよりかはエステやクリニックで脱毛してもらう方がはるかに安全で安く済むこともありますのでこちらをおすすめします。

ピルと言えばこんな珍事も

体毛とは関係ありませんが、中国でピルをアメ玉と勘違いし食べてしまった姉妹が以前ニュースになっていました。

中国四川省の地方紙によれば5歳の双子の姉妹は家の中でピルを見つけ、「きれいな色のアメ」だと思い、食べたという。母親がお風呂に入れていた時、2人の胸が膨らんできたことを発見。また月経のような出血もあり病院に連れて行った。

医師によればこのような症状はピルなどを誤って摂取した際に起き、半年ほどは体に影響が出るが徐々に消えていく。
姉妹は医師の問いに「きれいなアメを見つけて食べた。でも、叔母さんに少し残しておいた」と話した。
「アメだと思った」 ピルを飲んだ双子の5歳姉妹に胸のふくらみ―中国四川省 ライブドアニュース

日本ではピルではなくジェル状洗剤の誤飲事故が多くなっています。

何でも口に入れたがる年頃のお子さんをお持ちの方は置き場所に注意したいですね。