男性ホルモン
ヒゲの悩みがある方ならそもそもなんで生えるのと疑問に思うことがあるでしょう。一を除いて無精髭はだらしない身だしなみとして見られてしまうので今日ではその存在意義がわかりません。

出来ることなら脱毛して二度と生えてこないようにしたいものです。

しかし何度処理しても非常に強い生命力、成長力してきます。伸びすぎるとだらしないだけでなく人によっては老けて見られマイナスポイントになるため厄介なこと極まりないです。

たとえ毎日剃って清潔にしてもその濃さゆえ青ヒゲになることが多く、当サイトが行ったアンケート結果のように女性からの青ヒゲの印象は決していいものではありませんでした(→ 女性は青ヒゲ男と付き合いたくない?アンケート結果に衝撃

伸ばしてもダメ、剃ってもダメなので男性としてはお手上げでしょう。

 

では、最初に言ったようになぜヒゲは伸びてくるのでしょうか。今回はヒゲと男性ホルモンの関係を見ていきましょう。

 

男性ホルモンの性質

ヒゲと男性ホルモンの関係の前に非常に簡単に説明しておくと、男性ホルモンは鼻から下の体毛には「伸びろ!」と命令し鼻から上の体毛(髪を含む)には「伸びるな!」と命令します。逆に鼻から上の毛に伸びろと命令するのは何かと言うと女性ホルモンです。

厳密に言うと体内に存在する男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが影響していて、女性の身体にも男性ホルモンがありますし、男性の体にも女性ホルモンがあります。

ここではその話は置いといて、男性ホルモンは「ヒゲよ伸びろ」と命令を出すのだと理解しておいてください。

男性ホルモンの種類

男性ホルモンが体毛を濃くするというのは何となくイメージが持てると思います。先述のアンケートの答えにも「男性ホルモンが強そう」との回答がありました。

男性ホルモンはアンドロゲンとも呼ばれておりこれはいくつかの種類に分けられます。

  1. テストステロン
  2. ジヒドロテストステロン(DHT)
  3. デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
  4. アンドロステロン
  5. アンドロステンジオン

この他にもいくつかありますが今日の研究ではっきりとその役割がわかっている、主要とされているものはこんなものでしょう。これらは全く別々の作用をするわけではなくお互いにしっかりと関係性を持っています。

そしてこの中でもヒゲの成長と大いに関係があるもの、関連性が薄いものがあります。これつにいては一つ一つ見ていきましょう。

1.テストステロン

男性ホルモンテストステロンは男性ホルモンの9割の量を占めており中心的存在です。以前もちらっと説明したようにこれは骨格を良くしたり筋肉を増大、体毛を濃くするように働きかけます。

身体の形式的な変化だけでなく性欲を増大させるのもテストステロンの役割です。

もちろん男性の血液中に多く分泌されており、女性にはその10分の1から20分の1のしかありません。

2.ジヒドロテストステロン(DHT)

DHT名前が長いのDHTと書きます。DHTは生成されるものではなく、テストステロンが5αリダクターゼという還元酵素によって変身するものです。

還元酵素とはレダクターゼとも言われ2種類存在します。めちゃくちゃ簡単にいうと物を還元(変化)させる性質をもつ酵素のことです。

詳しく書くと本題とずれるのでテストステロンが5αリダクターゼと結びつくとDHTに変身するんだと頭に置いておいてください。

DHTは男の子の胎児の性器を形成する役目を持ちますが、大人になるとニキビやハゲ、濃いヒゲの原因になるので悪者扱いされることが多いホルモンです。

3.デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)

今日の研究ではこのホルモンの作用はあまりわかっておらず「飾り」程度の認識のようです。

テストステロンほど強くないにせよ一定の生理作用はあるようで、海外では若返りのサプリメントとしてよく使用されるそうです。 国立健康・栄養研究所によると「弱い男性ホルモン」として紹介されています。

4.アンドロステロン

こちらもわりと弱い生理活性のホルモンで女性にとっては鎮静作用がああり、男性にとっては覚醒作用があるホルモンです。

ヒゲの生成にはあまり関係ないです。

5.アンドロステンジオン

アンドロステンジオンはテストステロンの元の物質でキン○マでそれに変化します。一方女性の卵巣ではエストロゲンに変化します。

こちらもヒゲの生成とはほぼ無関係です(テストステロンの元と言う意味では大いに関係ありますが)。

 

以上5つを見ましたが、ヒゲの生成と関係がある男性ホルモンは

  • テストステロン
  • ジヒドロテストステロン(DHT)

の2つで、ホルモンではないもののこれら2つと密接に関係しているものとして

  • 5αリダクターゼ

があると覚えておきます。似たような名前が多くて、こっちでこの物質とつながり…という形で非常にややこしいですね。最後にヒゲと男性ホルモンの関係をまとめておきますのでどうぞご安心を。

 

ヒゲに作用しているホルモンがわかったところで、具体的にどのような働きで毛が生成されるのか見ていきたいと思います。以前「毛乳頭」や「毛母細胞」などの皮膚内部の機能レベルで解説しましたが今回はホルモン物質レベルでのお話です。

ここからまた新しい登場人物「レセプター(ホルモン受容体)」と「IGF-1」が出てくるので簡単にご紹介を。

  • レセプター:ホルモンに対して「こっちおいでー結びつこうよ!」と呼びかけ受け皿になる受容体のこと。
  • IGF-1:育毛を促す成長因子のこと。ヒゲ部分や脇など、毛が濃くなりやすい個所に多い。(⇔ TGF-β:脱毛因子)

 

男性ホルモンがヒゲを生成する流れ

5αリゼクターゼ血液中にあるテストステロンが毛乳頭や皮脂腺付近にある5αリゼクターゼと結びつき悪者男性ホルモンと言われているDHTに変身します。このDHTが男性ホルモンを呼び寄せるレセプターに引きつけられた後、そのヒトの遺伝によってIGF-1(成長因子)かTGF-β(脱毛因子)のどちらかが発現します。

男性のヒゲではほぼIGF-1がつくられて、毛乳頭の命令で出現する毛母細胞の細胞分裂を促して元気な毛へと成長していきます。

逆にAGA患者の頭皮ではDHTが脱毛因子のTGF-βを発現し、これによって薄毛になると言われています。

毛と男性ホルモン

ではどのような時にIGF-1を生成し、そのような時にTGF-βをつくるのかはわかっていません。遺伝的な要因で変わるのか、それとも他の物質が作用するのかは議論されています。

わかっていることと言えば先ほども言った通りヒゲ部分のように体毛が濃い個所にはIGF-1が多く作られ、AGA(男性型脱毛症)患者の頭ではTGF-βが多いということです。

ホルモンレベルで考えられる抑毛策

男性ホルモンがどのような流れでヒゲを作るのかわかると、それの対策も考えられます。実際に出来るかどうかは別にしてヒゲの生成を抑制しうる方法を挙げてみます。

  1. 5αリダクターゼとテストステロンの結合を阻止する
  2. DHTがレセプターに引かれないようにする
  3. DHTがIGF-1を作らないようにする
  4. テストステロン自体を身体で作らない
  5. テストステロンの量を抑える

 

イソフラボンは5αリダクターゼを阻害

1についてはよくAGA治療で行われる方法でフィナステリドという成分(主に亜鉛)によってテストステロンと5αリダクターゼが結びつくのを阻害する効果があるとされています。AGAでは最終的にDHTがIGF-1を発現させ薄毛に至るので、2つが結合してDHTになる前にそれを防ぐのですね。

よくフィナステリドの副作用として体毛が薄くなると言うのを聞きますが、ヒゲにおいてDHTは最終的にIGF-1を作り、これを阻止すると毛が成長しないため体毛が薄くなるというのはありえます。

また以前ご紹介したイソフラボンも5αリダクターゼとテストステロンの結びつきを抑制しますが、これはどちらかというと5αリダクターゼ自体を阻害する作用を持っています。フィナステリドとは少し作用のしかたが異なります。

 

2も同じようにAGA治療として取り入れられている方法で植物ステロールによってDHTと受容体が結びつかないようにします。

3も髪の脱毛予防として「TGF-βの生成を防ぎ、IGF-1をつくる」という取り組みがされているようです。ただし治療法としてはまだまだ発展段階のように思います。ヒゲ抑毛では3に示した通り「IGF-1を作らない」ようにしないといけません。

4については不可能です、動物として生きていけなくなります。

5.はテストステロンの量を減らすと言うよりは女性ホルモン(エストロゲン)の量を増やすことで相対的に男性ホルモンを減らす理屈になります。エストロゲンを男性の体に投与し続けるとホルモンバランスが変化し見た目や声、性格も女性のようになります。

エストロゲン

考えられる対策方法、実際に利用されているものなどを挙げましたがDHTが生成されたり、脱毛因子がつくられたり成長因子がつくられるには何かしら理由があります。

ヒトの身体において無駄な機能はありませんので、即効性を望んで物質の服用や投与で半強制的に影響を与えれば当然どこかで副作用が出てきます。なので、抑毛したい・育毛したいからと言ってよくわからない治療法や薬に飛びつかないように気をつけましょう。

 

ヒゲと男性ホルモンの関係まとめ

b03男性ホルモンの量が多いとヒゲが濃くなるのはその通りで、テストステロンというホルモンが中心となってその影響を与えています。

テストステロンは女性にも存在するホルモンですが男性の身体に多く存在しており還元酵素の5αリダクターゼと結びつくことで悪玉男性ホルモンと呼ばれているジヒドロテストステロン(DHT)に変化します。

ホルモンの受け皿になるレセプターにDHTが引き寄せられ、DHTは鼻から下の体毛(毛穴)では発毛促進する成長因子・IGF-1を発現させて元気なヒゲ、毛をつくります。逆にAGA患者の頭ではDHTは脱毛因子であるTGF-βをつくり、これが薄毛の原因とされています。

イソフラボンに抑毛効果があるのはテストステロンと結びつく5αリダクターゼを阻害する作用があるためで、一方AGA治療でも効果があるとされています。

今回ヒゲの生成過程をホルモンに絞って見てみましたが、この他にも血液中の栄養量やそれが毛乳頭にどの程度運ばれているかなど様々な要素が組み合わさって1本の「毛」になります。ですのでこれが全てと思わず色々な過程を踏んでいると認識しておいてくださいね!

 

こちら女性ホルモンを投与し続けた男性です。どれくらいの期間投与を続けたのかわかりませんが、終盤はもう女性にしか見えないですね。